男性型脱毛症 (AGA)
AGAとは?
AGA(Androgenetic Alopecia)は「男性型脱毛症」と呼ばれており、特に成人男性に多くみられる脱毛症の一種です。一般的に額の生え際や頭頂部のつむじ周辺から抜け毛が起こるとされています。現在では、薄毛や抜け毛に悩む男性のほとんどがAGAであるといわれています。
AGAは主に男性ホルモンが原因となり発症する疾患ですが、男性ホルモン以外にも遺伝や生活習慣などさまざまな要因が関わっているので、早い段階で医師の診察を受けることをおすすめします。
脱毛の進行パターンと進行度合いは「ハミルトン・ノーウッド分類」と称される全12パターンの世界的基準が用いられています。
ヘアサイクル(毛周期)
髪の毛の成長にはヘアサイクルと呼ばれる一定の周期があり、通常のヘアサイクルは約1000〜2000日かけて1周します。
このヘアサイクルは、大きく3つの段階で構成されています。
・成長期(2-6年)…髪の毛が最も活発に育まれる
・退行期(2-3週間)…髪の毛の伸長が止まり毛包が退縮していく
・休止期(3-4カ月)…毛包の活動が停止する
さらに成長期は「早期」「中期」「後期」の3段階に分かれています。
原因
AGAには、男性ホルモンの一種である「テストステロン」が体内の還元酵素「5αリダクターゼⅠ型およびⅡ型」によって変化し生成された「DHT(ジヒドロテストステロン)」が大きく関わっています。
DHTは受容体と結合することで、髭などの体毛に対しては成長因子を刺激して毛を太く成長させる働きを持ちます。
しかし、前頭部や頭頂部の髪の毛に対しては毛母細胞の分裂を抑制し、成長期を短縮させてしまう働きを持っているのです。
ヘアサイクルの成長期が極端に短縮されることで、髪の毛は十分に育たないまま退行期を迎えることになります。ヘアサイクルが乱れ、長く太い髪の毛へと成長できずに細く短い髪の毛ばかりが増えていき、やがて薄毛へと繋がっていきます。
治療方法
投薬治療が最も負担が少なく効果が望める治療です。治療薬にはいくつかの種類がありますが、主に、「薄毛を予防する薬」と「発毛を促す薬」が用いられます。これらのお薬を、ひとりひとりの進行パターン・進行度合いから選択し投与していきます。
◆薄毛を予防する薬◆
フィナステリド(内服)
DHTの生産に関わる「5αリダクターゼⅡ型」のみを阻害する働きを持ちます。DHTの生産を抑制することでヘアサイクルが正常に整い、抜け毛や薄毛の改善が期待できます。
《副作用》
性欲減少(1-5%未満)、勃起機能障害(1%未満)、射精障害(1%未満)、精液量減少(1%未満)など
デュタステリド(内服)
DHTの生産に関わる「5αリダクターゼⅠ型およびⅡ型」の両方を阻害する働きを持ちます。DHTの生産を抑制することでヘアサイクルが正常に整い、抜け毛や薄毛の改善が期待できます。
《副作用》
性欲減少(1%以上)、勃起機能障害(1%以上)、乳房障害(1%以上)、
射精障害(1%未満)、肝機能障害(1.5%)、めまい(1%未満)、蕁麻疹(1%未満)など
デュタステリドはフィナステリドに比べ、発毛を促す効果は約1.6倍とされていますが、副作用の頻度がやや高い傾向にあります。デュタステリド、フィナステリドの服用中は献血が禁止されています。服用中止後は献血可能ですが、デュタステリドは6カ月、フィナステリドは1カ月の間隔を空けなければいけません。重度の肝障害がある方は服用できません。女性や未成年の方は服用できません。妊娠中の方が内服したり触れたりして有効成分が吸収されると胎児の発育に影響を及ぼす恐れがあります。
デュタステリド、フィナステリドを服用すると前立腺がんを調べるためのPSA検査(血液検査の項目)が低下するため、前立腺の検査予定もしくは治療中の方は注意が必要です。
◆発毛を促す薬◆
ミノキシジル(内服)
血管を拡張させて血流を改善することで栄養を届けやすくし、毛母細胞を増殖させます。短縮されたヘアサイクルの成長期を延長する働きが期待できます。
《副作用》
頭痛、めまい、動悸、多毛症など
ミノキシジルの内服により血圧に変動がでる場合があるため、低血圧の方や高血圧で降圧剤を服用中の方、心疾患をお持ちの方は注意が必要です。直近で心筋梗塞を発症した方、腎不全や透析をされている方、褐色細胞腫がある方は服用できません。胎児や乳児に影響を与える場合があるため妊娠中および授乳中の方は使用でき ません。国内未承認医薬品です(詳細はページ下を参照)。
治療期間
内服薬による治療はヘアサイクルの関係上、効果を実感するまでにはある程度の時間がかかります。早い人は3カ月ほどで効果を実感できますが、個人差が大きいため少なくとも6カ月は治療を継続することをお勧めします。
治療によって薄毛が改善されたと実感できた場合でも、治療薬の飲用を止めてしまうとAGAが再発してしまう恐れがあるため、自己中断せず医師と相談しながら薬の量や種類などを調整して下さい。
治療を開始後1-3カ月ほどの期間は、初期脱毛といわれる一時的な抜け毛の増加が比較的多くの方にみられます。これは古い髪の毛が新しい髪の毛に押し出されるため生じる現象ですので、むしろ治療の効果が出てきていると捉えて下さい。
診察の必要性
AGAの発症や進行には遺伝子的要因のほか、睡眠や運動不足、不摂生な食事などの質の悪い生活習慣や日頃のストレスが関わっている場合があります。また、本人がAGAだと思っていてもそうではない場合や、程度によっては生活習慣の変化だけで改善を見込める場合もあります。
お悩みに対して適切な判断およびアドバイスをするために、診察をしてしっかりと問診をとることが重要なのです。
AGA治療は開始時期が遅れると改善率が低下することや、治療効果率が低下することがわかっているため、なるべく早めに医師の診察を受けることをお勧めします。
価格について
自由診療
1ヶ月あたり
フィナステリド 6600円(税込)
デュタステリド 6600円(税込)
ミノキシジル 6600円(税込)
フィナステリド + ミノキシジル
初回 :10000円(税込)
2回目以降:12000円(税込)
デュタステリド + ミノキシジル
初回 :10000円(税込)
2回目以降:12000円(税込)
ミノキシジル(内服)の自由診療について
ミノキシジル(内服)は国内では医薬品医 療機器等法の承認を得ていない未承認医薬品です。当院で使用しているミノキシジル(内服)はタイのT.O.MED社で製造されたものを個人輸入しております。国内ではミノキシジル(外用)が承認されています。ミノキシジル(内服)はアメリカのFDAに難治性高血圧の治療薬として承認されており、血圧変動、浮腫、心外膜炎、心嚢液貯留、心肥大および拡張、心筋壊死、出血性病変、狭心症悪化、心不全悪化、その他の予期せぬ重篤な健康障害が生じる可能性があります。(これらは降圧薬として使用する前提での研究データを参考にしているため、AGA治療に対して必ずしも当てはまるわけではありません)。